ちいさな烏賊


IMG_0849 IMG_0850 IMG_0853  ヒイカやホタルイカ、イイダコなど、小さな軟体動物にどうも弱いです。もっと小さなものになると、しらすの釜揚げのパックにまぎれている、小さな小さなタコやカニにも弱いです、パックを開けると必ず最初に目を凝らして確認します。

 元来のイカ好きでして、すし屋さんなんかでも、イカに始まりイカに終わります。何よりも好きなのはイカ刺しを炊きたてのごはんに載せて、というものです。新潟の実家では夏になるとよくイカを食べていました。3と8のつく日には家の前に市が出ます。ちょうど家の前には、「ねだち」さんというお魚・塩物屋さんが出ています。そこでイカを買い、おばあちゃんがさばいて刺し身にして食べさせてくれていました。さばき方を教わった今では、スーパーで丸を買ってきて自分で刺し身にしています。おばあちゃんは、イカの身と皮の間にいる白い寄生虫を「シラムというよ」なんて言うんです。「白い虫」が変化して「シラム」になったんでしょう。シュールなネーミングですね。案外いいネーミングセンスです。

 さて、料理屋さんなんかでよく、斜めにそぐように切り込みをいれて少し大きめに刺し身にしたりします。私もそんなのを真似して洒落た刺し身を作ったこともありますが、やはりイカの刺し身は何の変哲もなく刃を垂直に入れて拍子切りのように作るのが美味しいと思います。醤油にたっぷりとわさびを溶き入れ、そこに更に白ゴマを摺ったのをたっぷりと混ぜたものを、5,6本まとめて取ったイカ刺しにドバっとつけて、ほかほかしている白いご飯に載せて、大きな一口で食べる・・・。書いているだけで唾が出てきてしまいます。

 両親の友人に函館の出身の方がいます。その方が言うには、函館なんかでは朝のご飯まえの時間に、おばあちゃんたちが朝採れのイカを刺身にしたものを売り歩いていたんだそうです。朝ごはんからイカ刺しを食べるが日常的だったと言います。その話を聞いて、子どもながらに、その情景を思い浮かべていた記憶があります。木の箱を背負った、あおい手ぬぐいを頭に巻いたおばあちゃんが坂の途中で立ち止まっているというイメージでした。

 ヒイカはホタルイカよりも、イカっぽいです。私は何でもまだ若くて小さいものの方が旨い気がしてしまいます。ほうれん草も小さめ細め、いんげんも細めが好きです。だからヒイカなんかはイカよりもありがたがって、見つけたら即かごに入れてしまいます。特にこの日は、大きいの小さいの中くらいのがばらばらと入っていて、何とも心おどりました。ありがたく生姜で甘辛く炊きました。炊きあがった姿も生前と変わらずに可愛いので、不思議と罪悪感はありませんでした。