ジャスミンが咲く季節です。一重の小さな花が群れて咲いている姿は無垢で可憐ですが、夜、重く甘い香りに誘われるとふと、後ろめたい感情がよぎるような、そんな気になります。
煎茶にジャスミンの花をひとつ、入れてジャスミン茶にしてみました。
煎茶の香りの穂先に、ジャスミンの甘さが軽く乗っているようなさり気なさ。ツンとしたところがなく横広がりの甘い香りが、渋みのない新茶のまろみと違和感なく一緒になっています。立ち昇る湯気に、ジャスミンの蔓が巻きつくがごとく、縦横に香りの存在感が広がってゆき、半径15センチで、ひとつにまとまって収まります。
若草色の茶の水面にに薄桃色の花びらがくるくると舞っている、急須では唐子たちがにこにこ踊っている。素敵な夜の香りです。