トリコのセンス


IMG_2213 IMG_2288  学生時代のセンスの良かった男友達は、揃ってトリコ(BYtrico)が好きだった。

 高校生のころ仲良くしていたTちゃんはとりわけセンスが良く、17の誕生日にトリコのグローヴをプレゼントしてくれた。LAのスケーターのタトゥから取ったんだろう、指の第三関節、右手に「LOVE」左手に「HATE」とプリントされていた。その頃はREAL SKATEBOADINGのビデオを観て、マーク・ゴンザレスやトミー・ゲレロを聴いていた。ベージュにライトブルーのプリントだった。大好きで大事にしてたのに「LOVE」を無くしてしまった。

 大学生になって東京に来て、まず行こうとしたのが原宿にあったトリコのショップだった。私の記憶が間違っていなければ、当時は原宿のユナイテッドアローズ本店の近くにあったはずだ。当時はスマートフォンも無かったので、さり気ない顔をしながら、迷子になるのが怖かった。特に原宿通りの突き当りのキャットストリートの終わりの、サンタモニカや文化屋雑貨店があった付近はちょっと気を抜くと、迷子になりそうだった。高校の頃から原宿はよく遊びに来ていたけど、所詮は竹下通り〜原宿通りどまりで、原宿通りからアローズ本店の方へ道を渡った時、かなり大人になった感覚がした。

 大学時代の後半で知り合ったMも、センスが良かった。学生のくせして南青山の親の事務所に車を留めて六本木通りで夜遊びするような調子だった。ビルボードのポスターで作られた大きなゴミ箱を使っていた。これもトリコのセレクトだった。

 最近ふとした折にこれを思い出し、問い合わせたらまだ在庫があったのでまた買った。昔の家で使っていたものはどこへ行ってしまったんだろう。

 トリコはその後、同じ原宿内で引っ越しし、その後は豊洲のキャナルコートへ移った。キャナルコートはURのアパートだ。初めてキャナルコートを訪れた時、日が落ちて染まった空に、スクエア窓からオレンジやライトグリーンやイエローの光が漏れて、クラクラするほどかっこいいと思った。