園芸の季節


IMG_2039  先日、渋谷の東急本店で人と待ち合わせをしたとき、少し早くついたので上の本屋で待とうとエレベータに乗り込むと、屋上がガーデンショップになっていることを知りました。少し暖かくなってきているし、その日はちょうどよく晴れていたので覗いてみました。まだ3月半ばと思いきや、暖かな陽だまりの中で、苗たちがきらきらしています。すっかり気分がよくなってしまいました。花屋さんの苗たちは、毎日ちゃんとお水をもらいお世話してもらっているからでしょう、とても元気で、ヒネたところがなく素直です。寒いのが大嫌いで冬期は引きこもりを決め込んでいる私でしたが、小さな苗たちの素直なパワーをそのままいただき、とうとう冬眠から覚めた心地でした。

 そうとなると居ても立ってもいられない質です。早速、苗を求めてあちこちへ出かけます。川崎のsolsoもみましたが、求めるものがなく、結局その近くの泉樹園やワールドフラワーで調達しました。お料理に使うハーブ類と、寄植えのお花も数種類、追加のアイビー、あとはオリーブの相方としてユーカリなどです。前シーズンを終え放っておいたバジルの鉢から根を抜き、土に堆肥と赤玉を混ぜて新しい苗を植えます。

 去年引っ越してきたのが夏でした。オリーブやミモザ、アイビーの鉢がもともと置いてありました。引っ越しのばたばたで秋のシーズンに剪定や植え替えをしてあげることが出来ず庭がそのままになっているのが、とても気になっていました。年末にごめんね、ありがとう、と労いながら遅れて剪定をしてから年を越しました。剪定が冬になってしまったので、ミモザは花芽がでませんでした。新芽はどうなるかなと思っていましたが、ほんの小さな若草色の芽が出ているのをみて、いまホッとしています。

 実家の父と母はイングリッシュローズや、難易度の高いオールドローズを栽培しているロゼリアンです。特に父は、植物を育てるのがとても上手です。仕事や家長業や趣味のマラソンで大忙しですが、薔薇の他にも、数えきれないほどの草木の世話をしています。花の名前もよく知っています。その季節になると、真白いアルベリック・バルビエに蜂蜜色のハニーサックルが絡まり、夜に甘い香りに包まれます。特に好きなペアです。ハニーサックル(スイカズラ)は夜香る花です。長くカールした雌しべが風に揺れると、若い娘のまばたきのようで心が奪われてしまいます。

 私も実家にいた頃は、父に習ってハーブなど簡単に育てられる苗を育てていました。お隣りの庭には各種ハーブが野生化していましたので、引っこ抜いてもらってきていました。ある日、隣でもらったオーデコロンミントを勝手に地植えしたところ、翌日の朝食の席で「ミントは地植えしたら駄目。もう鉢に植え替えておいた。」と叱られました。ミントは繁殖力が強すぎて他の植物の邪魔をするらしいのです。別に内緒にしていたわけでもないのですが、何でもすぐバレてしまいます。軒下を見ると可愛いサイズのテラコッタの鉢の中で緑褐色の葉っぱが、何事も無くピンとしていました。あまりに何ともなさそうに気持ちよさそうにしていたので、思わずフフ、と微笑んでしまいました。そんな調子で気ままに育てていたハーブ類でしたが、夏にレモンバームやレモングラス、ローズマリーやミントで濃いフレッシュハーブティを淹れて、ポットにそのまま氷を入れてキンキンに冷やして飲むのが最高に気持ちよかったです。ジンなんかを入れてもいいかもしれません。早く暑い夏になれ、と毎日いつも思っています。春の桜より断然、夏の太陽が待ち遠しいです。