外環開通のラジオCM


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 新宿方面の夕焼けをホテルの部屋からみている。
 家から持ってきたラガヴーリンをソーダで割って飲んでいる。駅の紀伊国屋で買った、パクチー味のおかきが美味しい。空調が効いた部屋、嵌め殺しの窓、今日もビルに夕陽落ちる。
大阪でも毎日、東京放送(TBSラジオ)を聴いている。ある日、外環道の新開通を知らせるラジオCMが流れ始めた。はじめて聴いた時、手が止まり息が止まり視界が狭くなっていくのを感じた。外環に新たな区間が開通する、ただそれだけのことを若い男の子と女の子の俳優が言うだけ、ただそれだけのことなのに。
 親がよく車で松任谷由実を聴いていた。当時の若者にとってユーミンの音楽は、都会的であることの試験紙のようなものだったという話も、よく聞いていた。私の父親はどうもその試験に合格したつもりでいたクチのようだが。子どもの頃からあまりにも身体に染み付いていたこのメロディは、もはや私にとって特別でも何でも無かったはずなのに、なぜこうも胸を締め付けるんだろう。変わってゆく東京という街を思わせる、特別な旋律と、歌の中で語られる、ひとりの男の子のイメージも。