枇杷とさくらんぼの季節



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 枇杷の季節とさくらんぼの季節が重なるとは、なんと愛おしいことだろうか。控えめな枇杷の横にいると、さくらんぼ(しかも佐藤錦)も清楚でコビない、花の実に見えるからいいじゃないか。

 

 竹見台マーケットという、「マーケット」と言い表すしかない施設が、近くにあるんです。今一番好きなトコロです。肉屋(牛肉)、キムチとかソフトうどん麺やストレートツユのパックも置いている豆腐店、鶏肉屋(鶏と卵)、八百屋、惣菜屋(煮物、揚げ物)、そして果物屋という専門店がボロい建物の中に入っています。

 

 ここがありがたくて泣けて来るんですよ。最初は、私が苺好きだと聞いた桃山台に住んでいるおかーさんの同期のEちゃんが「ここの果物屋の苺は格別だよ」と教えてくれたんですよ。で、行ってみたらそれはボーっとするほど美味しい苺でした。ここの果物は「秀」以上なのは当然で、特定の生産者から仕入れているという果物屋さんでした。月に2度ほどのペースで通っていましたら、果物屋さんのオッチャンニーチャンがついに昨日私の顔を見てあちらから「あ、まいど」と言ってくれたんです。標準語しか話せないので、特にこういうローカルな場所ではどうしてもヨソヨソしい対応を受けがちなのですが、ついに心が通じたようです。今日はオトクな佐藤錦と、「これ食べたことないやろう」と小さくて甘い「ビワっこちゃん」を勧めてくれました。佐藤錦も特定の生産者から直で取ってるんでしょう、証拠にパックを留めているテープが「さくらんぼ柄のマスキングテープ」でした。そもそも私は最初、貴陽というスモモを買おうとしたんです。そしたらまだ旬になってないから甘くないし高いから絶対買うなと言うんですよ。じゃ誰に売るつもりなんでしょ。右も左もわからない女のカモがネギ担いで来てるのに。

 牛肉屋さんでも、ちょっと高め(美味しめ)の牛肉を買おうと覗いたら、「今日はこのコマの安いので十分ですわ」と言うんです。わたしはその隣のグラム398円のものを買おうとしたのに、グラム198円のものを勧めてきます。聞くと、日によって安い方の肉はモノが違う。今日は安いものも隣のものと同じクオリティであるから。ということです。(これを遠慮気味に絞り出すような大阪弁で言うのですが再現できず)ならばと、この女のカモは買おうと思っていた量よりも少し多めに買い求めました。気持ちがすごく嬉しかったんです。

 その後に寄った鶏肉屋さん。ここのタレ焼き鳥は「ねぎま」と「赤鳥」の2種類があるのです。以前その2つを一緒に買って食べたところ「赤鳥」の旨さに腰を抜かしたんですよ。タレは同じものなはずなので、肉の旨さでここまで違うかあ…とポジティブな意味でガックシきたんです。今日は「赤鳥」一本に絞って向かったんですが、夕方だったせいか売り切れていました。じゃあ…と呟いて立ち尽くしていたら「これはぁうまいっ」と70歳近そうなおじいちゃんがいうので、モモの照り焼きを買いました。「ねぎま(5本入り)」もオマケでつけてくれました。相手のおすすめを素直に聞くと得をするのですね。女のカモはありがたく買い物袋を下げて鶏肉屋さんを後にしました。
 ある時は「胸肉を1枚ください」と頼んだら家に帰ってみてみると、自分が思っていた量の2倍の大きさでした。スーパーで買う1枚と思っていた胸肉はどうやら1枚を半分にした量だったようです。こんなことも鶏肉屋さんで鶏肉を買うまで知らなかったことです。

 これは大阪に来て割とすぐに気づいていたことですが、大阪にはイカリや阪急オアシスのようなちゃんとしたスーパーもあるけれど、それ以上にこういう専門店がちゃんと残ってるんですよ。私の住む地域はニュータウンですが、それでもそうです。もちろん、東京や横浜に住んでいた時にも専門店はありましたが、こんなに高いレベルではなかった。高いレベルの専門店にわざわざ行かなきゃ、美味しいものを手に入れられないという感じ。私もモノ好きなので色々回りましたが、味やコストの観点から結局、高級スーパーがいいやということが多かった。しかもそれで満足していたような感じも哀しい。東国の人々とアングロサクソンは美味しいものを知らないというエピソードは雁屋哲の『美味しんぼ』で延々と語られるテーマなのですが、それを身をもって実感しています。
 果物店が「特定の個人の生産者から仕入れている」というのも、専門店ならば至極当然なことなのかもしれない。しかしスーパーで買うのが普通になっていると、いかに「標準化された食べもの」を食べているか、ということに気が付かないものです。
 欲を言うと、東京の「福島屋」のようなスーパーをまだ関西で見つけられていません。知っている関西の方がいたらぜひ教えてほしいです。パントリーというスーパーがちょっと近いかなと思いますが、ここはどちらかというと成城石井に近いかな、もう少しガチに独自の基準値を持っているお店を望んでおります。

 話を説教臭くするつもりはなかったのですが、関西ってやっぱすごい、ということが言いたかったのです。そしていかに自分が東国から来た田舎者であると思い知らされることが多いということも。



 

2枚目オマケ:最近好んで飲んでる炭酸水。ほどよい硬さと、微炭酸と、塩味がマッチしすごく好み。
3枚目オマケ:最近使ってる野菜洗剤「ベジセーフ」。「ほたての力くん」を愛用していたが、先日完成間近の炒めものに「ダイショー塩コショウ」と間違って勢いよく周富徳(古い)よろしく投入してしまい撃沈して以来あまり使っていない。当然だよね。ホタテの力くんとダイショー塩コショウは同じ容器だもん。いつかやると思っていたよ。

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