猫たちの選択


IMG_6255 IMG_6263  2匹の猫を飼いはじめました。オスとメスの雑種の兄妹です。カラスに追われていたところを保護された頃はまだ乳離れしていませんでした。私が哺乳瓶でミルクを与えて育てました。まだ自力で排泄もできず、補助してあげていました。

 本来なら母猫がお乳を与えて、排泄も舐めて促してあげて、排泄物も舐めとってしまいます。母猫からはぐれてしまったこの子たちの世話には手を焼きました。生後1ヶ月くらいまでは1日4回のミルクと排泄。しかもこちらの都合通りに食べてくれない、排泄してくれないこともしばしばで、こっちがげっそりするほどでした。しばらくすると、1日3回に分けてミルクや水でふやかしたドライフードに美味しいウエットフードを混ぜて与えました。仔猫のうちは一度にたくさん食べられないので数回に分けるわけです。この時ばかりは子どものいる友だちを尊敬しました。

 今は4ヶ月となり、1日2回ふやかさないドライフードに、ウエットフードを大さじ1杯ほど混ぜて与えています。よく食べてくれるようになったので安心してみています。ここまで来るのも研究でした。初めて猫を飼ったものですから、猫の気持ちがわかりません。昨日まで食べていた餌なのに突然プイっと食べてくれなくなることが続き、あらゆる餌を買い集めて試したりしました。今は、ドライフードはHILLS社の「SCIENCE DIET(サイエンスダイエット)」、ウェットフードはユニ・チャーム製のものに落ち着いています。

 うちの場合、特にメスがファシーです。彼女の場合、「これ飽きた」「このメーカーじゃなきゃ嫌」「(寝ているオス猫に)そこどいて」「なんか嫌」「(寝ているオス猫に)今日は一緒に寝たい」「(寝ているオス猫に)ねえ起きて」「(わたしに)ねえ少し甘えたい」「ちょっとこのままでいさせて」「まだ寝たくない」「この砂が嫌」「ここでトイレしたくない」「トイレが嫌だからベッドでしたから」となります。

 彼女が急にトイレ以外のところで用を足すようになってしまったのは、こちらの気持ちと財布を消耗させました。これが有名な猫の粗相問題でした。猫が粗相をする原因はいくつか知られています。「腎臓・膀胱・尿路系の疾患」「ストレス」「トイレが気に入らない」「発情時のマーキング」などです。仔猫なので発情はまだです。まず病院に連行し病気の線を消しました。すると残りはストレスかトイレでした。「チュー」と呼んでいるネズミのおもちゃで遊んであげ、なでなでしてあげて、たっぷりと愛をそそぎ、幾つものトイレと猫砂を買い求めました。一番多い時でリビングに5つものトイレを置きました。

 「EVER CLEAN(エバークリーン)」だけは最終手段だなと思っていました。値段が高いし重い飛び散りやすく扱いづらいからです。ただこれは人の都合であって、猫への評価は抜群でした。この砂に変えて粗相が止まった猫がたくさんいるということです。彼女の粗相が始まって2週間ほど彼女の挙動を始終監視し、ちょっとでも床の匂いをくんくん嗅ぎ出してぐずぐずしようものなら、そしてその長い尾っぽをピンと立てようものなら(尻尾の長い猫は排泄をするとき尻尾が汚れないようにピンと立てるのです)すぐに彼女を抱えてトイレの砂の上に置く、嫌がって逃げる、置く、嫌がって逃げるの繰り返し。その果て目を離した隙に「トイレ以外のどこか」で、しているのを発見して、臭い消しセットを抱えて拭き掃除と洗濯。こんなことは長く続けてはお互いのためにならないと思い、ついに既に発注して納戸に入れていたエバークリーンに手をかけました。

 簡単な話でした。彼女の粗相はピタリと止まりました。それどころか、トイレが大好きになり、トイレの回数が増えました。用もないのに入っていることもあります。初めてこの砂の上に彼女をそっと置いた時に、もう今までと違いました。それまでの砂に置くと嫌がってトイレのフチをカリカリ掻いて逃げていましたが、エバークリーンに載せた瞬間、好奇心で目がまんまるになり、初回は15分ほど入っていました。そしてそこでそっと、おしっこをしたのです。オスの方はそもそも、のほほんとした性格でどんなトイレでも「その時々でどこでも近いところでオッケー」な人だったのですが、エバークリーンへの執着には尋常じゃないものがあります。初回は30分も入っていました。今でも本当にしょっちゅうトイレに入っています。ちなみにそれまでは、主におからの砂を使っていました。

 エバークリーンの砂は細かく、猫がトイレから飛び出すときに砂が床に飛び散ってしまいます。それで見つけたのがこの「CleverCat(クレバーキャット)」というトイレです。箱型になっていて蓋に穴が空いているというものです。「ペットプロダクツトニュース 最優秀賞受賞」「キャットファンシー 最優秀賞受賞」「ペットエイジ グランプリ受賞」など、数々の権威ある賞を受賞しているアメリカ製のプロダクトです。クレバーキャットにエバークリーンを入れて使うと、排泄物の臭いが全くしません。猫も満足、わたしも満足です。エバークリーンを置いてから他のトイレは一切使われなくなりました。このトイレを2台置いて、あとのトイレは全て撤去しました。

 猫たちにも選択する意思があるんです。この穏やかで狂おしく愛おしい日々がいつまでも続くことを祈って。