私がジェルネイルを辞めたわけ <4>


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(前回からの続き)

 シンプルな話でした。自爪にした私の手はとても美しく見えました。一番大きい違いは「爪の厚みの自然さ」「横から見たフォルムの自然さ」でした。ジェルはどれだけ頑張ってもある程度厚みが出てしまいます。しかも2〜3週間は持ってしまうので、根本から伸びてしまいます。付けたてはネイリストが綺麗だと思うフォルムが出来ていたとしても、2〜3週間後は悲惨…。けれど「爪を含んだ一番綺麗な手の姿」を知らなければ、そんなことも気にならないんでしょう。その無知さは、むしろ分厚いジェルネイルが伸び切ってしまっている爪よりもむしろ大きな問題です。
 フォルムもさることながら衛生面も気になっていました。爪とジェルの隙間に水が入り込んでしまえば、そこは体温で細菌が繁殖しやすい環境になります。ジェルの爪で平気でお料理をする方を見ていると辛くなりました。
 更にちょっと浮いたところから無理にジェルを引き剥がしてしまえば、爪の組織も一緒にくっついて剥げてしまいます。自爪がうすくなり、またジェルを載せることでしか解決できなくなります。このような状況に軽薄な理解しかなければ、ジェルのオフをわざわざプロにしてもらおうなんて考えないのです。お風呂の中でふやけたついでに剥いてしまう、自分でオフをしてみようとしてしまう…いやむしろプロがしたとしても、ジェルで爪がいたむは当然です。いたまない訳がない。樹脂を溶かすほどの溶液に皮膚や爪を浸すんですから。

 自爪の生活に戻った私は、それ以降ジェルを付けている女性の爪先が可哀想に見えてくるようになってしまいました。もちろん、付けたてを思わせる綺麗なフォルムのジェルネイルを見ることもたくさんありました。そういう状態を維持なさる方は、1、2週間に一度必ずネイルサロンへ行ってお手入れをしていらっしゃるんでしょう。逆に1、2週間に一度必ずネイルサロンへ行ってお手入れが出来ないのであれば、ジェルネイルを維持するのは困難なんだと痛感したのです。そして、それってほぼ、不可能に近いことな気がしました。無力感を感じたのです。

 結果、私はジェルネイルの施術を辞めさせていただく決心をしたのでした。その時の自分の言葉を全て使ってクライアントの皆様へ連絡をさせていただきました。色々な反応がありましたが、その中で「カエさんがそのような流れになることは、当然なことだと思っていました」と言ってくださる方が何人かいらっしゃり、私はとても救われたのです。その時に連絡をさせていただいたクライアントの皆様の存在は今でも心の中の大切な宝物です。いずれナチュラルネイルケアのマニュキアの美しさを身をもってご納得いただけることを、とも考えていますが、まだ実現できそうにはありませんが。



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