貧しさのような温かさ


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 コットンの刺繍入りのカーテン生地でパジャマのズボンを縫った時に出た切れ端。刺繍部分を捨てるのが忍びないけど、捨てなきゃと気持ちを奮い立たせて屑入れに放ったんです。

 翌日ベッドリネンを荷造りしている時に、コンフォーターカヴァにいくつか穴が空いているのに気づいたのです。これは冬の間ねこたちがシーツと掛け布団の間へ潜り込む時に、爪をたててしまうので空いてしまう穴なのです。私は前の日の夜に捨てた刺繍部分を屑入れから漁りだしました。そして手頃なサイズにチョキチョキ切って、コンフォーターカヴァの穴を繕いました。

 穴を繕う行為というのは、温かいような惨めなような不思議な感覚があります。真っ白な麻のベッドリネンを繕う私は、何か貧しいフランスの農家の女の子になってしまったような夢をみているようでした。

 自分の母親も、こういうちまちまとした繕いものを良くしていた気がします。両親が揃いで着ていたブルックスブラザーズのパジャマの生地は良く繕いに使っていた記憶があります。密度の高いブロードのブルーとホワイトのストライプでした。