食卓の風景」カテゴリーアーカイブ

にんじんのラペ

March 10th, 2014

IMG_1202  初めてにんじんのラペを食べたのは新宿三丁目のクレッソニエールでした。菊地成孔さんに陶酔していたので(今もです)、菊地さんがよく行くと言ったお料理屋さんにはよく行きました。歌舞伎町の元リキッドルーム近くの青葉は特に好きです。良い気分があります。台湾たけのこの季節には、酸味の少ないマヨネーズで食べるのが最高です。

 さて、にんじんのラペをオレンジで味付けすると知ったのは、白金台のモレスクでした。フランスの定番のお惣菜とは知らずに作り方を聞いたんです。オレンジで味付けすると聞いて、驚きながらもとても腑に落ちました。にんじんの甘みとオレンジの甘みが自然に融け合っていて、気づきませんでした。そういえば昔、とても美味しいドレッシングの隠し味がすり下ろしたにんじんだったということもあります。

 これはバルセロナで買ったシトラスのスクウィーザです。本来この形のものは木製であることが多いようですが、これは硬いプラスチックです。とても硬いので力が入れ易く、単純な構造で洗い易い、とにかく話が早いです。


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ちいさな烏賊

March 1st, 2014

IMG_0849 IMG_0850 IMG_0853  ヒイカやホタルイカ、イイダコなど、小さな軟体動物にどうも弱いです。もっと小さなものになると、しらすの釜揚げのパックにまぎれている、小さな小さなタコやカニにも弱いです、パックを開けると必ず最初に目を凝らして確認します。

 元来のイカ好きでして、すし屋さんなんかでも、イカに始まりイカに終わります。何よりも好きなのはイカ刺しを炊きたてのごはんに載せて、というものです。新潟の実家では夏になるとよくイカを食べていました。3と8のつく日には家の前に市が出ます。ちょうど家の前には、「ねだち」さんというお魚・塩物屋さんが出ています。そこでイカを買い、おばあちゃんがさばいて刺し身にして食べさせてくれていました。さばき方を教わった今では、スーパーで丸を買ってきて自分で刺し身にしています。おばあちゃんは、イカの身と皮の間にいる白い寄生虫を「シラムというよ」なんて言うんです。「白い虫」が変化して「シラム」になったんでしょう。シュールなネーミングですね。案外いいネーミングセンスです。

 さて、料理屋さんなんかでよく、斜めにそぐように切り込みをいれて少し大きめに刺し身にしたりします。私もそんなのを真似して洒落た刺し身を作ったこともありますが、やはりイカの刺し身は何の変哲もなく刃を垂直に入れて拍子切りのように作るのが美味しいと思います。醤油にたっぷりとわさびを溶き入れ、そこに更に白ゴマを摺ったのをたっぷりと混ぜたものを、5,6本まとめて取ったイカ刺しにドバっとつけて、ほかほかしている白いご飯に載せて、大きな一口で食べる・・・。書いているだけで唾が出てきてしまいます。

 両親の友人に函館の出身の方がいます。その方が言うには、函館なんかでは朝のご飯まえの時間に、おばあちゃんたちが朝採れのイカを刺身にしたものを売り歩いていたんだそうです。朝ごはんからイカ刺しを食べるが日常的だったと言います。その話を聞いて、子どもながらに、その情景を思い浮かべていた記憶があります。木の箱を背負った、あおい手ぬぐいを頭に巻いたおばあちゃんが坂の途中で立ち止まっているというイメージでした。

 ヒイカはホタルイカよりも、イカっぽいです。私は何でもまだ若くて小さいものの方が旨い気がしてしまいます。ほうれん草も小さめ細め、いんげんも細めが好きです。だからヒイカなんかはイカよりもありがたがって、見つけたら即かごに入れてしまいます。特にこの日は、大きいの小さいの中くらいのがばらばらと入っていて、何とも心おどりました。ありがたく生姜で甘辛く炊きました。炊きあがった姿も生前と変わらずに可愛いので、不思議と罪悪感はありませんでした。


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マッシュルームの丸干し

February 26th, 2014

IMG_1130  干し野菜に凝っています。特にマッシュルームは以前から安く買えた時にまとめて干していました。先日も2パックが束ねられて50円でおつとめをしていたので、迷わず買ってきて、すぐに干しました。

 最近では按田餃子の按田優子先生の『冷蔵庫いらずのレシピ』のメソッドをフル活用し、竹ざるをやめて串刺しにして干すようにしています。串に刺して宙吊りにすることで、どこにも触れない状態で干せるので、竹ざるで干すより早く乾燥します。串を渡す場所さえ設けておけば、手元で発生したクズ野菜をすぐに串刺しにして干せます。私はこの菜箸で構築したスペースを「本部」と呼び、毎日せっせと野菜を串刺しにしております。

 いま台所を通ると、ポルチーニ茸のような芳香がプンと鼻をつきます。以前はスライスを干していましたが、按田優子先生のメソッドではためらいなく丸干しができます。とても可愛い姿で並んでおります。干したマッシュルームはスープに入れて煮込むと大層深い旨味が出ます。旨味を出したあとのマッシュルームは出し殻になってしまいます。一方しめじは、出し殻になることなく、良い食感と後味を残してくれます。


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サンドウィッチ

February 22nd, 2014

IMG_0660 IMG_0663  夫が早めに出勤する朝は、サンドウィッチを持って行ってもらうことがあります。寝坊して朝ごはんを食べている時間がない日もこうなります。

 真っ白な食パンの耳を落としたコットンみたいなのに、レタスやトマトやハムを挟むというのは、不思議と作ったことが無いです。ちょっときつ目にトーストした食パンに、濃い目の具を挟みます。あざみ野の徳多朗のイギリスパンがあれば最高です。この日は、焼いた肉の付け合せに昨夜作ったマッシュポテトに、黒胡椒を挽いたベーコンエッグという組み合わせと、クリームチーズアンチョビでした。クリームチーズアンチョビというのは、大橋歩さんのレシピです。トーストしたパンにクリームチーズを塗り、アンチョビフィレを小さく千切って散りばめるというもの。クリームチーズのコクにアンチョビの塩気と微かな魚の香りが絶品です。大人のサンドウィッチだなと、気分がよくなります。クリームチーズはフィリーよりキリが好みです。

 最近、市川海老蔵さんがブログでよく分厚いステーキのサンドウィッチを食べているのを載せています。旧山手通りのトムスサンドウィッチだと思いますが、いつか食べてみたいです。私の母親のメールアドレスは、「トムトムサンドイッチ」なんです。恐らくここから来てるんでしょう。


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