暮らしの趣味」カテゴリーアーカイブ

カシミアの香り

February 12th, 2016

IMG_7344 カシミアの下にはなるべく下着を付けずに素肌に着てしまいます。まるで何も着ていないような、暖かい空気を纏っているだけ、そんな感覚が好きです。
 ブラジャーはあまり良くありません。つけるとしてもストラップレスのもの。つけなくて済むならばストラップの細いシルクのキャミソールだけです。出来るだけ広い面積でカシミアに触れたい。暖かく柔らかく、肩こりもありません。
 素肌にカシミアを着る時は、脇の下とおなかに直接香水を噴きます。ふとした時の香り方が素敵です。
 私の好きな香水は、シャネルのアリュールオム。メンズの香水です。
 カシミアを着ると女っぽい気分になります。とろんとした視線と甘ったるい気分をシャープにしてくれるメンズの香水。中学生の頃、輸入雑貨屋さんで買ったカリフォルニアの「アリュールオム風」のコロン。 大好きだった香り。大人になってから本物のアリュールオムとそれを纏う男性を手に入れました。

 

 本来ならばニットの下には下着をつけるのが鉄則。洗濯もなるべくしない方がいいはずです。私はこんな調子なので、2,3回着たら自分で洗います。セーターはクリーニングには出しません。ドライクリーニングでは気持ち良く綺麗にならないからです。
 ラウンドレス(LAUNDRESS)のウールカシミア用の洗剤を使っています。シダーの潜んだ香りがとても好きです。おしゃれ着用の洗剤は中性洗剤です。シルクの靴下や下着も、一緒に洗えます。シルクはアルカリ性の洗剤で洗うと溶けて破れてしまうので普通の洗濯とは一緒にできません。コットン類の染みはウタマロ石鹸で下洗い。ラウンドレスの固形石鹸も使っていましたがウタマロ石鹸が良いと聞いて使ってみたら、本当に安いのに真っ白になる。
 セーターはウールカシミア用洗剤で脇の下や首周りを下洗いしてから、洗濯機のウールコースに入れてしまいます。カシミアの洗濯、以前は全て手で洗っていましたが億劫になってしまいますので、今は機械まかせ。
 ダイニングテーブルに大きなバスタオルを広げて脱水されたセーターを挟みます。その時に手で軽く伸ばしてプレスするような感じにしておくと良いようです。
 乾いたらしっかりアイロンでプレスします。多少の縮みは伸ばしながらプレスすれば直ります。
 セーターはシャツ以上にアイロンがけを徹底しています。仕上がりがまるで違います。


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香りの名前

November 8th, 2015

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 先日、私をよく知る友人が京都から遊びにきてlisnのインセンスをくれました。その香りの名前がHEART OF “F”だった。”F”はわたしのイニシャル、立ち止まってその刻印を見つめていました。
 そもそも以前、彼女と京都で待ち合わせしたのが四条烏丸のCOCONの1階でした。少し早くついたのでふらふらしていたらモダンな香のお店を見つけたのです。私はすぐに虜になり全ての香りを試して100本ほどのお香を購入しました。店を出て小さなショッパーを下げて椅子に腰掛けていたら、鈍色の瞳をした彼女がいた。ふうわりした栗色ショートカットが初夏の陽に白く透けていまいた。
 CANALE(カナーレ)、 AQUA(アクア)、FOLLOW(フォロウ)、AVENUE(アヴェニュ)これはその中で私が特に気に入った香りの名前です。香りはもちろんのこと、私はその香りの名前に惹かれていました。
 例えばAVENUEは「乳香と樹脂」の香りです。lisnではこの香りのキーワードを「大通り、初夏」としています。乳香はフランキンセンスのことです。乳香は、投薬(ミルラ)と並んで聖書において、東の方からきた3人の占星術の学者が献上した贈り物のひとつです。
 初夏の都市の硬い石の地面、石造の建物。顔を近づけてみる。樹脂という言葉から連想する硬い香りがします。昔の出来事、新しくて輝くもの、捨てたものと手に入らないものが、頭のうしろ側から去来していつの間にか消え去る。
 lisnの香りには、このように抽象的な名前が刻印されています。香りには形も無く色もない。名前が無いから、名前が付けられるのだろう。


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ゴミ箱と屑入れ

November 5th, 2015

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 ゴミを入れる箱を「ゴミ箱」と言ってしまうと、なんかそれ以上発展しないような閉塞的な感じがあります。ゴミを入れるためだけに製造された箱。その箱を購入して設置するだけで良いのでしょうか。
 「屑入れ」と呼んでみるだけで、かなり存在意義が出てきます。「ゴミ箱」にものを入れるのと、「屑入れ」にものを入れるのとでは何かちょっと違う気がするんです。ものは「ゴミ箱」へ入れた瞬間にもう存在が無くなるけれど、「屑入れ」に入れられても、その存在は続いているような感覚です。捨てるということにも美しさが必要です。
 無意識に私は「ゴミ箱」を「屑入れ」にしたがっていたようです。
 洗面においている屑入れは、骨董の白い火鉢です。そう高価なものではありません。何年か前に有田の陶器市へ遊びに行った際に線路沿いに出ている骨董屋さんで買い求めたものです。(母親の実家が伊万里ですので、有田の陶器市へは何度どなく出向いています。車で30分ほどなので車で行ってしまうのもいいのですが、伊万里駅から出ている松浦鉄道の風景が好きで、わざわざ電車で行くことも有ります。)この屑入れは、主にメイクを落とした際のコットン、ティッシュー、夫が毎日使うワンデーコンタクトレンズ、排水口の髪の毛、などが捨てられます。入る屑は限定されていますが、あるのとないのとでは雲泥の差です。これくらいの大きさの陶器の壺はわりと見つけやすいと思いますので、ぜひどこかで見つけて洗面に置いてみてください。
 そして、デスクの周りで出る主に紙屑を収める箱は、自分で作ってしまいました。正方形の段ボールに雑誌のお洒落なページを切り貼りしています。外側は高校の頃から読んでいたrelax誌のキリヌキです。art for allという連載が好きだったので真面目にキリヌキしていました。この屑入れの外側は抑えたトーンのKyle Field/Little Wingsで統一してみました。内側は紙屑を入れると見えなくなることを逆手に取って、ちょっと遊んでみました。3年ほど前に好んで入手していたPLASTIKというレバノンの雑誌は「色」に特化した雑誌でかなり強いコントラストの紙面です。輸入誌でたしか1冊2000円ほどしますが、こういう風な用途に使えるので捨てないでとってあります。内側はかなり派手に配色しました。
 キッチンは蓋が閉まる条件で探し、Simple Humanのバタフライステップカンを使っています。専用の袋がとても使いやすいのですが入手しづらく高価なので、代替品を探していました。30リットルで紐がついていて巾着袋のように楽に縛れるタイプのものです。探しましたら「リロコ」というメーカーで替わるものを見つけました。専用のもののようにピタリとはいきませんが、ある程度フィットしますし、何より価格も安いので今のところ満足して使っています。それまではいわゆる取っ手付きの袋を使っていましたが、紐付きにしてから、ごみの日の作業がとても楽です。
 捨てるものだから何でもいいような気もしますが、そういうところこそ、生活の質に直結していると考えています。


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タオルの持つ価値

October 20th, 2015

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 タオルに関する議論に一年がかかりました。

(前回の記事から一年)

 

 出た結論は「タオルには価値がある」ということでした。タオルがしっかり管理されていれば、タオルは生活の質を間違いなく高めます。タオルとはそれほどの存在なのです。私なりに作ったルールがありますから、それに従って頂ければそれで良いのです。

 

一.タオルは白一色に統一する。フチなどにも色が入っていては駄目です。今まで使っていた色付きタオルはお捨てになるか、それ相当の処置を。

二.サイズはひとつに統一する。畳んで収納した姿を綺麗にするためです。使い勝手としてはバスタオルとフェイスタオルの中間のサイズをお勧めします。

三.一度使ったタオルを、もう一度使ってから洗おう、などとケチなことを言わない。

四.タオルのストックを決して絶やさない。

 

 以上の4点、たったこれだけです。一と二は金銭的に解決が出来ますが、三と四は努力が必要な部分です。そもそも一番重要なのは四なのです。これが覚束なくなると三がおかされ、しまいには物置へ投げ込んだ「色付きの」「サイズがバラバラな」タオルをこっそり取り出して使い出すことになってしまい、結果一も二もおかされます。なお、サイズを統一するタオルはお風呂あがりにメインで使用するタオルのことで、他の場所で使用するタオルのことまで言っていません。

 わたしの場合、2人家族で2人とも朝と夕の1日2回行水をするので、1日4枚のタオルが消費されます。ほとんど毎日洗濯機を回しますが一応、タオルは倍の数の8枚、用意しています。洗濯も大変ですが、うちの洗濯乾燥機には洗濯から乾燥までワンストップのコースがあるので、洗濯機に頑張ってもらうことにしました。タオルと寝間着は最初から乾燥までするコースへ。それ以外の洗濯ものは洗濯までして、干しています。

 最初は洗濯乾燥機に頼ることに色々な戸惑いがありました。そもそも2人で1日4枚ものタオルを使うことも、環境問題を考えたら喜ばしいことではない。色々、喜ばしくなく葛藤していたんです。でも温かいシャワーを思う存分浴びて、浴室のドアを開けてバスローブを着て、新しいタオルを取って両手に広げて顔を埋めた時の快感。十分乾燥していて、控えめで清潔な洗剤の香りがする。これ以上の幸せがあるでしょうか。ある時私は、自分の幸せを優先することにしたのです。その瞬間、とても幸せでした。そしてその日からその瞬間が毎朝毎晩訪れます。

 幸せってなんだろう、でもいますごく幸せ。タオルを使うたびに毎日思います。

 


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アメリカンフックドラグの時間

April 9th, 2015

  アメリカンフックドラグを知ったのは5年ほど前、図書館で小林恵さんの本を借りてからです。小林恵さんのことは、その他のアメリカの手芸の本を持っていたので知っていましたが、フックドラグの本の内容の濃さに驚き、すぐに自分でもその本を入手しました。そのまま数年、着手しようしようと思って時間に甘えているうちに、暮らしの手帖が小林恵のフックドラグを2号に渡って特集しました。

 焦りと自責の念で、居てもたっても居られなくなった私は、この帰省に掛けたのです。ちょうど車のシートに敷くおざぶのようなものが欲しいと思っていたので、渡りに船。それを作ろうと決めました。道具はほぼ不要です。ラグに使うウールも着なくなったセーターでいいのです。平織りの生地が勧められていましたが、私は目の細かいメリヤス編みのセーターをローラーカッターで切り刻みました。問題無かったです。学生時代に奮発して買ったマルタンのセーターも切り刻んで使いました。

 手作業というものほど、好きなものはありません。始めると止まらずスイスイとループを作って進みます。セーターを切り刻んでいるので1本の紐はせいぜい30センチくらいです。もう1本、もう1本と刺して行くうちに夜が更けてしまいます。20代前半は、徹夜で手芸をしていました。でももう、同じことをすると翌日が愉快ではありません。どこかで手を止めて寝ます。そんなこんなで、半端な状態で帰省が終わりました。

 一日中くだらない、オーシャンズ11シリーズなどの映画をかけながら、ずっとフックを刺す日が欲しいです。ふと作業の手を止めて、ブラッド・ピット扮するラスティーがナチョスなんかを頬張りながら、ジョージ・クルーニー扮するダニーに目配せをしてから立ち上がる、そんな一瞬を横目で確認してから、またラグに目を伏せてひたすらループを作り続ける、そんな一日が欲しいです。

 しかし転居先にはテレビはもちろんのこと、映画を映す白いスクリーンも、絨毯も、ソファも、ありません。ほぼ全て手放しました。何にもないところからのスタートとなりそうです。

 もちろん車の、おざぶもありません。


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